【民法総則】住所、居所、仮住所の意義とその違い

民法
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1. 民法上の「住所」の意義

普段何気なく「住所」という言葉を使っていると思いますが、民法ではこの「住所」にもしっかりとした規定があります。

民法第22条(住所)
各人の生活の本拠をその者の住所とする。

うーん、THE・当たり前ですね。民法では人の生活の本拠(=人の生活の中心である場所)を「住所」と定めています。

ところで民法では、この「住所」以外にも、人が居住する場所に関する規定が設けられています。次の章で詳しくみていきましょう。

2. 民法上の「居所」の意義

「居所」という用語が出てきました。前述の「住所」とは全く異なる意を持ち、住所と同じく民法でしっかりと規定されています。

民法第23条(居所)
  1. 住所が知れない場合には、居所を住所とみなす。
  2. 日本に住所を有しない者は、その者が日本または外国人のいずれかを問わず、日本における居所をその者の住所とみなす。ただし、準拠法を定める法律に従いその者の住所地法によるべき場合、この限りではない。

なんか住所の規定と違って、小難しい事を書いてますね・・・。

民法上では、「人が多少継続的に居住するが、その生活関係の度合いが住所程密接でない場所のこと」を「居所」としており、住所が知れない者については、その居所を住所とする、と定めています(民法第23条第1項)。

では外国に住み、「日本に住所を持たない」人に関してはどう処理をすべきでしょうか?

民法第23条第2項では、

「日本に住所を持たない者は、外国人or日本人を問わず、日本での居所を住所とするよ」

と規定しています。

民法第23条第1項は「住所の特定が困難である場合の規定」、同条第2項は「住所の特定は可能であるが、その住所が海外にある場合」の処理を規定しているという事になります。

3. 民法上の「仮住所」の意義

また新しいのが出てきました、「仮住所」です。前章でみた「住所」と「居所」と何がどう違うのでしょうか?

とりあえず条文を見てみましょう。

民法第24条(仮住所)
ある行為について仮住所を選定したときは、その行為に関しては、その仮住所を住所とみなす。

仮住所とは、

「住所」、「居所」とは別に、一定の法律行為において便宜上の理由で選定できる場所

のことを言います。

仮住所を選定すると、その仮住所を当該行為においては「住所」の代用とすることができます。

ただし、仮住所はあくまで「その当該法律行為」のみにおいて有効な住所であって、その法律行為以外の法律行為による法律効果は、従前通り通常の「住所」につき生じることになります。

4. まとめ

今回は民法上の「住所」、「居所」、「仮住所」の意義とその違いを見てきました。

おさらいすると、

  • 住所:人の生活の本拠(=人の生活の中心である場所)。
  • 居所:住所程その人の生活に密接ではない、その人が断続的に居住する場所。住所の特定が不能の場合は、居所が住所とみなされる。また海外に住所を持つ場合は、国内の居所が住所とみなされる。
  • 仮住所:ある特定の法律行為につき、便宜上の理由で任意に選定が可能な住所。当該特定の法律行為においてのみ有効。

という事になります!

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